出版社内容情報
濱千代清氏旧蔵の『紹巴冨士見道記』を、影印・翻刻とともに「本文校合箚記」を添え、末流本文がどのように崩れてゆくかを見る。紀行文学としては、芭蕉の『おくの細道』があまりに著名であるが、その前に連歌師の紀行文学の伝統があったことは十分顧みられなくてはならない。宗祇・宗長・紹巴・宗因と辿って来て、その上で『おくの細道』の紀行の新しさが論じられなくてはならない時代に来ている。
この度刊行した、濱千代清氏旧蔵『紹巴冨士見道記』は、濱千代氏は紹巴自筆と考えられていた。現在は郡上市の紅林文庫蔵となっている。忠実な写本という説もあるが、いずれにしても『紹巴冨士見道記』の原型ともいうべき根本的な本文であり、今後は、この本をもとに考察しなければならない。濱千代氏は未紹介の京都女子大学蔵本らとともに校本を作成し、公刊の意志を持っておられたが、本書は校本ではなく、影印・翻刻とともに本文が末流へとたどる間にどのようにして崩れてゆくのかを見るために「本文校合箚記」を添えた。
一 はじめに
二 影印
三 翻刻
四 書誌
五 諸本略解題―校合本を中心に―
六 本文校合箚記
七 本文の崩れゆく過程
八 濱千代清先生を偲ぶ
九 後記―甲子庵文庫本との出会い、解説を兼ねて―
島津忠夫[シマヅ タダオ]
1950年京都大学文学部文学科(国語学国文学専攻)卒業。
文学博士。
大阪大学名誉教授。
主要業績 『島津忠夫著作集』全15巻(2003?2009年・和泉書院)、『宗祇の顔 画像の種類と変遷』(2011年・和泉書院)
大村敦子[オオムラ アツコ]
1985年京都女子大学文学部国文学科卒業。
1988年京都女子大学大学院文学研究科国文学専攻修士課程修了。
1944年武庫川女子大学大学院文学研究科国語国文学専攻博士後期課程単位取得退学。
博士(国語国文・武庫川女子大学)
京都女子大学非常勤講師。
主要業績 「『匠材集』紹巴編者説への疑問」(「女子大国文」106号・1989年12月)、『心敬十体和歌 評釈と研究』(2015年・和泉書院・共著)
内容説明
濱千代清氏旧蔵の『紹巴冨士見道記』は、『紹巴冨士見道記』の原型ともいうべき根本的な本文であり、今後は、この本をもとに考察しなければならない。本書では、影印・翻刻とともに校合ではなく、「本文校合箚記」を添え、末流本文がどのように崩れてゆくかを見ようとする。
目次
1 はじめに
2 影印
3 翻刻
4 書誌
5 諸本略解題―校合本を中心に
6 本文校合箚記
7 本文の崩れゆく過程
8 濱千代清先生を偲ぶ
9 後記―甲子庵文庫本との出会い、解説を兼ねて
著者等紹介
島津忠夫[シマズタダオ]
1950年京都大学文学部文学科(国語学国文学専攻)卒業。文学博士。大阪大学名誉教授
大村敦子[オオムラアツコ]
1985年京都女子大学文学部国文学科卒業。1988年京都女子大学大学院文学研究科国文学専攻修士課程修了。1994年武庫川女子大学大学院文学研究科国語国文学専攻博士後期課程単位取得退学。博士(国語国文・武庫川女子大学)。京都女子大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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