研究叢書
紫式部日記と王朝貴族社会

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  • サイズ A5判/ページ数 366p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784757608054
  • NDC分類 915.35
  • Cコード C3395

出版社内容情報

『紫式部日記』の政治性を明らかにし、作者の主張を女房論、漢詩文素養論の二点から読み解く。作品の成立についても考察。『紫式部日記』とは何か。本書は同時代の生きた貴族社会に作品を置く手法でこの問いの解明を目指す。第一に、登場人物たちの履歴や政権との関係を微細に読解に導入し、記述に込められた政治的意図を読み取る。第二に、作者の主張を「女房論」「漢詩文素養論」の両面から探り、作品が中関白家文化から道長家文化への文化潮流の転換を促していることを指摘する。第三に、作品の成立が二段階にわたった可能性から、作品の本質を考える。

凡例
はじめに

第一部 紫式部日記の性格
 第一章 『紫式部日記』をどう読むか
  一 『紫式部日記』を読むにあたって
  二 『紫式部日記』まで
  三 紫式部について
  四 『紫式部日記』の構成と成立
  五 『紫式部日記』の世界
  六 『紫式部日記』の諸本

第二部 紫式部日記と王朝貴族社会
 第一章 彰子賛美の真情―『紫式部日記』寛弘五年秋―
  はじめに
  一 『栄花物語』の記す出産前の彰子と一条天皇
  二 紫式部は彰子をどのように理解していたか
  三 紫式部の感動

 第二章 彰子の学び―『紫式部日記』「新楽府」進講の意味―
  はじめに
  一 胎教説の不可能性
  二 「新楽府」の特殊性
  三 一条天皇と風諭
  まとめ

 第三章 宴に集う人々―『紫式部日記』敦成親王五十日儀場面の政治性―
  はじめに
  一 漢文日記に記載された宴
  二 『紫式部日記』の記した宴
  まとめ

 第四章 倫子の不愉快―『紫式部日記』五十日の祝い―
  一 『紫式部日記』敦成親王五十日の祝いとその最終場面
  二 確執説の当否
  三 「幸ひ」という言葉
  四 『栄花物語』の倫子像
  五 『紫式部日記』同場面の意味

 第五章 『紫式部日記』清少納言批評の背景
  はじめに
  一 定子の崩御と貴族たちの反応
  二 『枕草子』の作用
  三 『枕草子』の執筆年代

 第六章 『権記』所載の一条院出離歌について
はじめに
  一 『権記』における定子と彰子の呼称の実態
  二 行成の和歌解釈

第三部 紫式部日記の主張
〈女房論〉
 第一章 拒絶と順応―女房紫式部への自己陶冶―
  はじめに
  一 「惚け」演技の実質
  二 「おいらか」習得の努力
  三 「おいらか」およびその記述の効果

 第二章 『紫式部日記』女房批評の実務尊重主義―「ものの飾りにはあらず」(一)―
  一 女房批評の基準
  二 彰子女房群の現状
  三 「姫君」的女房の存在と意味
  四 「飾り」より実務を

 第三章 『紫式部日記』消息体部分新釈の試み―「ものの飾りにはあらず」(二)―
  一 従来の解釈
  二 「飾り」という役割
  三 新釈の試み
  おわりに

 〈漢詩文素養論〉
 第四章 「真名書き散らし」ということ
 はじめに
  一 『紫式部日記』の漢学素養観
  二 『源氏物語』の「博士の女」

 第五章 「才がりぬる人」ということ
  はじめに
  一 〈女の漢才忌み〉と〈女の仏教忌み〉
  二 中関白家の女達
  三 「才がりぬる人」ということ

 第六章 『紫式部日記』消息体の主張―漢詩文素養をめぐって―
  はじめに
  一 工藤氏の説(一)――校訂Aの不要について
  二 工藤氏の説(二)――「読む」の意味・「日本紀」の意味
  三 工藤氏説の援用による文脈読解
  四 紫式部の主張

 第七章 一条朝における漢詩文素養に関する社会規範と紫式部
  はじめに
  一 女性と漢詩文素養
  二 清少納言批判―男女別の否定と規準の転換―
  三 自己抑制
  四 漢詩文素養のあるべき用い方
  五 才がりぬる人

第四部 紫式部日記の成立
 第一章 『紫式部日記』の成立―献上本・私家本二段階成立の可能性―
  はじめに―問題の所在―
  一 前半記録体の「女房日記」性
  二 消息体の問題
  三 主家賛美と自己語りの問題
  四 「私家本」の制作

索引
初出一覧
あとがき


山本淳子[ヤマモト ジュンコ]
一九八三年 京都大学文学部卒業
石川県立図書館職員・石川県立高校国語科教諭を経て
一九九四年 京都大学大学院人間・環境学研究科入学
一九九九年 同修了 博士(人間・環境学)
京都学園大学経済学部助教授(准教授)を経て
現在 京都学園大学人文学部教授。
(主要著書)
『紫式部集論』(和泉書院、二〇〇五年)
『源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり―』(朝日新聞社、二〇〇七年)第29回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)受賞
『ビギナーズ・クラシックス日本の古典 紫式部日記』(角川ソフィア文庫、二〇〇九年)
『紫式部日記 現代語訳付き』(角川ソフィア文庫、二〇一〇年)
『私が源氏物語を書いたわけ 紫式部ひとり語り』(角川学芸出版、二〇一一年)
『平安人の心で源氏物語を読む』(朝日新聞出版、二〇一四年)第三回古代歴史文化賞優秀作品賞受賞

内容説明

『紫式部日記』の政治的意図を読み取り、作者の主張する“女房論”“漢詩文素養論”の両面から作品が中関白家文化から道長家文化への文化潮流の転換を促していることを探る。さらに、作品成立事情からその本質を考える。王朝貴族社会という要素を基盤に『紫式部日記』の内部に切り込み、「女房紫式部」の姿に迫った渾身の書。

目次

第1部 紫式部日記の性格(『紫式部日記』をどう読むか)
第2部 紫式部日記と王朝貴族社会(彰子賛美の真情―『紫式部日記』寛弘五年秋;彰子の学び―『紫式部日記』「新楽府」進講の意味;宴に集う人々―『紫式部日記』敦成親王五十日儀場面の政治性;倫子の不愉快―『紫式部日記』五十日の祝い;『紫式部日記』清少納言批評の背景;『権記』所載の一条院出離歌について)
第3部 紫式部日記の主張(女房論;漢詩文素養論)
第4部 紫式部日記の成立(『紫式部日記』の成立―献上本・私家本二段階成立の可能性)

著者等紹介

山本淳子[ヤマモトジュンコ]
1960年石川県金沢市生まれ。1983年京都大学文学部卒業。石川県立図書館職員・石川県立高校国語科教諭を経て1994年京都大学大学院人間・環境学研究科入学。1999年同修了、博士(人間・環境学)。京都学園大学経済学部助教授(准教授)を経て、京都学園大学人文学部教授。著書に『源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり』(朝日新聞社、2007年、第29回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)受賞)、『平安人の心で「源氏物語」を読む』(朝日新聞出版、2014年、第三回古代歴史文化賞優秀作品賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Waka

1
分厚いので躊躇しつつも友人に借りて読了。とても頭が良く誠実な筆者の姿が想像される。決して初心者向けの易しい本ではないが、『紫式部日記』にきちんと向き合うために一定の労力を惜しまない読者には好ましいもの。2022/04/20

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