内容説明
有間皇子の変の解明を目的として、変を歌論史でなく法制史問題より捉え直す。通説の契冲論は変の意義を改める結果を生んだ。変の根源は革運の動機を『詩緯』に見倣う。有間皇子の心には民の幸福を願う使命感があり、世直し思想が謀反の動機となったとする。皇子の二首詠歌は斉明三年丁巳作であることや、『書紀』に示す藤白坂は万葉集の地名とは異なること、大化改新後の『唐律令』準用下では謀反には拷訊行為が必ず採用されることなどから、有間の墓は海南に非ず切目崎であるとするなど、新説に富む。
目次
序章 有間皇子自傷歌二首問題
第1章 有間皇子の一生
第2章 戊午革運実現者劉裕・蕭道成の位相
第3章 倭国律令時代
第4章 戊午革命各論
第5章 白浜裁判と前後編
第6章 行刑地に関わる皇子墓
終章 岩内古墳は有間皇子墓に非ず
著者等紹介
三間重敏[ミマシゲトシ]
昭和4年島根県賀足郡津和野町生誕。昭和32年神戸市立外国語大学英米科卒。昭和40年立命館大学大学院文学研究科日本史専攻修士課程卒。昭和42年大阪学院高等学校、就職。昭和45年兵庫県立尼崎北高校、転勤。平成2年同伊丹北高校、定年退職。平成7年私立神港学園高校、定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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