内容説明
「やまとことば」による和歌のみが表現手段であった和歌史において、和歌に漢文・漢詩を接合させ一体化させるという新たな形式が獲得された時、作品世界は刷新され新しく構築された。この新たな形式に最も鋭敏であり和歌史上に出現させたのが、万葉歌人山上憶良と大伴旅人であった。彼らが推進した和歌史上の営為を分析し日中文化交流研究に資する。
目次
第1章 本書の目的と視座(本書の目的・意義;山上憶良作品・大伴旅人作品を論じるために;新たな形式が可能にする構成・趣向)
第2章 山上憶良作品に見られる趣向・構成(日本挽歌;令反或情歌;思子等歌;哀世間難住歌;「サヨヒメ問題」の“創出”;熊凝哀悼歌;貧窮問答歌)
第3章 大伴旅人作品に見られる趣向・構成(歌詞両首;日本琴の歌;「松浦河に遊ぶ歌」の“仕掛け”)
第4章 時間と空間を方法化しての虚構の仕立て方―大伴家持作品(はじめに―家持作品における方法的“時間”について;「教喩歌」に見る方法的“時間”と“空間”)
著者等紹介
廣川晶輝[ヒロカワアキテル]
1968年群馬県安中市に生まれる。1999年北海道大学大学院文学研究科博士後期課程国文学専攻単位取得退学。同年北海道大学文学部助手。2000年北海道大学大学院文学研究科博士後期課程国文学専攻修了。博士(文学)北海道大学。同年北海道大学大学院文学研究科助手。2005年甲南大学文学部助教授。2007年甲南大学文学部准教授。2009年甲南大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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