内容説明
告白的回想、行き交う手紙、様々な素材の受容・翻案、過剰な語りと逆説性に充ちた読者への挑発―太宰治作品が駆使した方法と表現の必然性を、“虚構”と“現実”の越境・反転を鍵として解明する。
目次
1 初期作品(「魚服記」論―上田秋成「夢応の鯉魚」の受容;「めくら草紙」論―模索される小説の言葉;「雌に就いて」論―変移する“リアリズム”)
2 告白と手紙(「葉桜と魔笛」論(思いこみ・口笛・回想;尾崎一雄「ささやかな事件」の受容)
「誰も知らぬ」論―“恋愛談”を越えて
作中の手紙をめぐって―書き手と受け手の力学)
3 翻案の諸相(「清貧譚」論―ロマンチシズムから追放されない男;「駈込み訴へ」論―反転し続ける語り;「右大臣実朝」論―語りと行為の共犯)
4 井原西鶴と太宰治(昭和十年代・西鶴再評価の中で;「破産」論―敗北の理由;「吉野山」と「遊興戒」―型への“回帰”)
「人間失格」論―実人生の終着点と回想の起点
著者等紹介
木村小夜[キムラサヨ]
1963年2月生、京都市出身。奈良女子大学大学院博士課程人間文化研究科(比較文化学専攻)退学。同大学文学部助手を経て、福井県立大学学術教養センター教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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