内容説明
山本有三は戯曲家として、また『路傍の石』や『真実一路』『女の一生』『風』『波』『生きとし生けるもの』など長編小説のベストセラー作家として文学史上に確たる地位を占めている。しかしながら中短編小説は数の少いこともあり余り知られていない。『兄弟』『子役』『チョコレート』『瘤』の四短編、『不惜身命』『無事の人』の二中編はそれらに劣らぬ芸術性を備えた優れた作品である。本書ではその中短編作品の秀でたる所以を解明する。
目次
第1章 戯曲作家から小説作家に至るまで、その後
第2章 短編小説『兄弟』における幼き感性の発露と肉親愛
第3章 短編小説『子役』―子役をめぐる父親・原作者・舞台監督の葛藤
第4章 短編小説『チョコレート』―父子愛・友情・社会性の問題
第5章 中編小説『不惜身命』―典拠・変容・技法について
第6章 山本有三の中短編小説の題材と技法と改訂
第7章 『無事の人』における写実と関連文献の扱いについて―その受容と変容状況と作家の成熟・独自性
第8章 山本有三の中短編小説における一元写実
著者等紹介
平林文雄[ヒラバヤシフミオ]
1928年9月1日、長野県東筑摩郡波田村(現松本市波田6744)に出生。東北大学文学部卒業、同大学院修了(国語学専攻)。元・群馬県立女子大学文学部教授。現・高崎商科大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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