内容説明
飛鳥藤原に都が置かれた時期の歌は、どのような空のもとに生まれてきたのか。その万葉集前期の気候上の特色を歌に重ねて考えてみるべきであろう。近世後期の碩学本居宣長が飛鳥を巡歴して、その知性感性がどのような古代を描いたかにも、注目しなければなるまい。加えて水の話。飲む水も田の水も神の水、その水の神が人と化した姿を、能楽の「翁」に見ようともしている。本書は古代飛鳥の空と土と水とに寄せた三編から成る。
目次
1 飛鳥藤原京期の気候
2 本居宣長『菅笠日記』を読む
3 能楽リポート“翁”とは如何なる神か