内容説明
恣意的な“読み”を排し、客観的に“論証”し得た(と考える)事だけを書くという態度を貫いた書。仏教、就中日蓮・田中智学関係文献に基づく考察の他、「オツベルと象」の象のルーツを帝国図書館所属の「四神地名録」の一節他に求め、那珂(中勘助)『提婆達多』の影響下に「土神ときつね」をものしたと推定し、山男像の曲拠の可能性を刊本の柳田國男『山の人生』及び『廣文庫』の「やまをとこ」の項に探り後者を賢治にとっての“山男情報虎の巻”と結論づけ、家出上京時持参の二冊の「御書」の正体を比定し、新稿「「ビヂテリアン大祭」と「銀河鉄道の夜」」では、従来着目されていなかった“万国宗教大会”関係文献を参看することにより「銀河鉄道の夜」解読に蟠っていた積年の謎を解明した。
目次
中有と追善―「ひかりの素足」論
“二人だけ”の世界―「黄いろのトマト」を手掛りに
トシの臨終と日蓮遺文・守護経
「嘉祥大師讃」について
我等の主師親
ナモサダルマプフンダリカサスートラ
求道すでに道である、など
永捨から転捨へ―グスコンブドリとグスコーブドリ
「オツベルと象」の象、又は白象
土神と狐の物語―那珂(中勘助)『提婆達多』からの影響〔ほか〕
著者等紹介
工藤哲夫[クドウテツオ]
1948年11月5日大阪市生まれ、京都大学大学院文学研究科博士後期課程国語学国文学専攻研究指導認定退学、現在京都女子大学文学部国文学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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