内容説明
本書は『上方文化講座 曾根崎心中』につづくシリーズ第二作。文楽界の名手たちと文学研究科スタッフが『菅原伝授手習鑑』「寺子屋」の世界を鮮やかに照射する。
目次
浄瑠璃史の中の『菅原伝授手習鑑』
『菅原伝授手習鑑』四段目切(寺子屋の段)
寺子屋の段
身替り
寺子屋
『菅原伝授手習鑑』における敬語・無敬語
近世大坂の芝居町
文楽質問箱―受講者からの質問
『菅原伝授手習鑑』増補上演年表
『菅原伝授手習鑑』増補物 解題と翻刻
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
非日常口
19
歴史数寄に歌舞伎の「菅原伝授手習鑑」を見に行かないかと誘われ、チケットを取ってもらったので予習。金平浄瑠璃は天運循環法として、秩序ある世が乱れ、再び安寧を取り戻すという物語が、18c以降の時代浄瑠璃では、そもそも公的な秩序をポジティブに捉えていない場合があり、往々にしてその秩序回復の過程で多くの人が死んでいくという悲劇的な物語になるらしい。近代以降、進歩主義による否定の否定が進み、進化論等新しさ=良いという価値観だったが、それまでは過去に習うことが美徳とされた。物語の大筋もあり、つまみ食いで予習できる。2015/03/24
はちがみっつ
0
3日間の講座をまとめたもの、と簡単に言えばそうだけど、時代背景から、寺子屋の定義やら専門家の講義がなかなかのボリューム。3業からお一人ずつゲストにいらして、座談会的な話も。勘十郎さんの、愛犬から学ぶ死に体の呼吸法の話は、笑う、でいいのか。2017/05/31