内容説明
清新の気と老練、古代中世説話研究を開示。清新の気あふれる「初期論文集」と老練の「後期論文集」を集成。それらを貫く不変の方向性、すなわち用例の博捜、精密な読解、地道な考証への希求は、従来の注釈研究の壁を次々と突き破る「難語考証」となって結実。本書において初めて活字化された文章の多い「講演・講義ノート類」、さらに『中外抄』『富家語』全条の話題の連関の様相を表示し綿密に分析した「研究報告」など、古代中世の説話研究に幅広い業績を残す著者の研究の全側面を開示する。
目次
長能説話の文脈―二十日あまり九日といふに春の暮れぬる
後三条天皇と犬狩―『中外抄』『古事談』を読む
『今昔物語集』研究の昭和史―昭和二十年(一九四五)以後
『今昔物語集』鈴鹿本の周辺
『今昔物語集』の「礼の橋」と「屏風の裏」考証―都市空間論的研究のために
長谷寺対外霊験譚の構造―長谷寺唐朝馬頭夫人説話と勝尾寺百済国王后説話
勝尾寺百済王后説話の構造と伝流―対外霊験譚研究の一環として
「野猪」の正体―『今昔物語集』難語考証
「たうさかのさへ」の所在地―『宇治拾遺物語』第136話〔ほか〕
著者等紹介
池上洵一[イケガミジュンイチ]
1937年岡山県津山市に生まれる。1960年神戸大学文学部卒業。1966年東京大学大学院博士課程単位修得中退。現在、神戸大学名誉教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。