内容説明
著者の作品論的説話研究の最高到達点。『今昔物語集の世界―中世のあけぼの―』と『修験の道―三国伝記の世界―』を、新たに修訂を加えつつ一巻に纏め、主要語句索引を附す。符牒のような専門用語は極力避け、万人に通じる言葉で、しかも高度な研究を実現させたいと誓った著者の、多年の思いと研究の成果がこの一巻に凝縮する。巻末には『修験の道』の研究を生む基盤となった「近江湖東地域寺社縁起基礎資料」を新たに収録。稀覯の地誌類を博捜した湖東地域の寺社縁起のきめ細かな一覧表的集成は、各方面の研究に多角的に寄与するに違いない。
目次
第1編 『今昔物語集』の世界―中世のあけぼの(『今昔物語集』への招待;事実から説話へ(その一)―興福寺再建の霊験
事実から説話へ(その二)―花山院女王殺人事件
説話のうらおもて―中山神社の猿神
説話の視界―明尊僧正と平致経
天竺から来た説話―月の兎
震旦説話の変容―説話の荘子
説話の翻訳―忠文の鷹、そして浄尊法師
『今昔物語集』の展望)
第2編 修験の道―『三国伝記』の世界(再発見への旅立ち;『三国伝記』の世界;飛来した神;二つの名犬伝説―説話伝承の背景;平流山文化圏―飛来峰伝説;『三国伝記』の知的基盤;修験の道―湖東から湖北へ;遙かなる湖―十和田湖の竜神伝説)
付 近江湖東地域寺社縁起基礎資料
著者等紹介
池上洵一[イケガミジュンイチ]
1937年岡山県津山市に生まれる。1960年神戸大学文学部卒業。1966年東京大学大学院博士課程単位修得中退。現在、神戸大学名誉教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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