内容説明
古今和歌集は成立以来、歌集の規範となり、文学のみならず文化の源泉であり続けた。古今和歌集はどのような文学伝統を継承し、いかなる言葉の世界を織りなしているのか。どのように読み継がれ、享受され、古典となり得たのか。文学史としての古今和歌集をテーマに9人の気鋭の研究者が新見を交えて平易に説き明かす。永青文庫の地で催された「古今和歌集1100年熊本フォーラム」の成果。
目次
第1章 『古今和歌集』の世界―生動する歌ことば
第2章 『萬葉』から『古今』へ―国風暗黒時代をめぐる一つの解釈
第3章 『古今集』前夜―『新撰万葉集』の試みと蹉跌
第4章 『古今和歌集』の撰集―女性歌人伊勢の歌はなぜ選ばれたのか
第5章 屏風絵と屏風歌と物語
第6章 引歌と本歌取り―「古典」としての『古今集』
第7章 古今伝授とは何か
第8章 近世堂上派の『古今集』享受―萩原宗固を中心に
第9章 永青文庫の『古今集』資料
著者等紹介
森正人[モリマサト]
熊本大学教授
鈴木元[スズキハジメ]
熊本県立大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinaba
0
古今和歌集の少し前の新撰万葉集の紹介や、遥か時代を下っての古今伝授とは何かであったかの解説などなど。古今そのものではなく周辺から相対的に見る視点を色々集めてなるほど面白い。2017/09/23
山がち
0
古今伝授目当てで読んでみたのだけれども、幽斎が俗流の古今伝授をも摂取していたというのは極めて興味深いことである。そのほかにも、新撰万葉集の漢詩化などの失敗を見て貫之が『古今集』から漢文的要素をばっさり切り落とすという画期的なことをしたのだという論、醍醐天皇自身の意志によって伊勢の歌が古今集に取り入れられた、しかも当時は和歌の地位は極めて低く国家的事業のうちの一つとしての勅撰集撰集にすぎず、歌数を確保する中でも当代歌人で有力な伊勢の歌が必要だったという論などは極めて興味深く古今集の違う側面を知れた気がした。2014/05/10