内容説明
源氏物語には雅びな、あるいは甘やかな、あるいはものさびしい楽の音が響いている。しかし、他の物語とは一線を画していて、楽の音の奇瑞を峻拒している。源氏物語は音楽にどのような意味を負わせているのか。音楽用語・楽器・音楽記述の型・楽の音の表現を取り上げ、他の物語と比較しながら考察していく。
目次
序 文学と音楽
1 王朝貴族の音楽意識
2 物語の音楽、源氏物語以前
3 琴から和琴へ
4 宴遊
5 伝授・交情・一人琴
6 舞
7 催馬楽
8 楽の音
9 源氏物語の主題と音楽
10 物語の音楽、源氏物語以後
付 源氏物語の主要な音楽記述
著者等紹介
中川正美[ナカガワマサミ]
文学博士。現在梅花女子大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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読書記録(2018/10~)
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(22/5/20の再読)琴のクラシックに対し、和琴をモダンととらえ、紫式部は新しい美意識を提示した。漢字と仮名の関係になぞらえうる。楽の音を人間の感情と結び付けた手法が当時新しかったというのも、現代からすると面白い。2023/04/15
読書記録(2018/10~)
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楽器の中で和琴が特別な位置を占めるのは王朝物語で源氏物語だけ。唐渡りの琴(きん)と双璧をなす立場にあるのが面白い。平安時代に実際に多用されていたのは筝と琵琶である。「宴遊」の意味も考察され、優雅に美しく政治的な表現ができる装置であることが感じられた。2022/05/20