内容説明
本書は、代表作『女坂』や三部作『朱を奪うもの』『傷ある翼』『虹と修羅』から作家の姿勢を問い、『妖』『二世の縁 拾遺』『女面』『小町変相』『やさしき夜の物語』『なまみこ物語』に、円地の古典受容に見られる傾向を説き明かした。古典文学の研究を経て、近現代文学の研究にたどり着いた著者により、最新の研究成果を踏まえ示された創作の軌跡は、円地文子の作品を読み、深く理解するための水先案内となろう。
目次
序章 円地文子の世界を探る
第1章 作家の姿勢―“女を生きる”(再出発を期した三部作―『朱を奪うもの』『傷ある翼』『虹と修羅』論;白川倫の生き方―『女坂』論)
第2章 古典受容の系譜―古典本文挿入から架空の古典創作へ(『伊勢物語』九十九髪の女の力―『妖』の構造と手法;秋成「二世の縁」現代語訳という創作―『二世の縁 拾遺』論;“野々宮記”の功罪―『女面』論;新しい小野小町の創出―『小町変相』論 ほか)
結章 展望―今後の研究に向けて
著者等紹介
野口裕子[ノグチヒロコ]
1952年生まれ。同志社大学大学院修士課程修了。関西学院大学大学院博士後期課程修了。2002年7月博士(文学)取得(関西学院大学)。大阪府立高等学校教諭を経て、現職。現在、新居浜工業高等専門学校教授
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