内容説明
本書は、奈良興福寺大乗院門跡尋尊の、宝徳二年(一四五〇)正月から永正五年(一五〇八)正月に至る四十九年間の日記である。十五世紀後半という室町後期の畿内近国の出来事を具さに記録し、室町時代の根本史料の一つである。
目次
1 戦国期荘園の諸相(一条家領摂津国福原荘に関する一考察;室町・戦国期の大乗院領河口・坪江庄)
2 大乗院門跡と寺院組織(興福寺大乗院門跡と津宗寺院―とくに津宗寺院大安寺を通して;中世における寺院の童について)
3 国人・他侍の活動(応仁大乱と奈良;河内守護畠山氏とその城郭 ほか)
4 芸能文化の内容(中世後期における奈良の盲人について―『大乗院寺社雑事記』を中心に;『大乗院寺社雑事記』に見る連歌興行(二)―長禄三年(一四五九)~文正元年(一四六六))
5 歴史地理(中近世奈良における「辻子」と「突抜」:大乗院尋尊と中世都市堺)