内容説明
聖地・志賀島を拠点に、隼人族を従え玄界灘に君臨した海人の雄族、阿曇氏。彼らと対立・抗争し、後に北九州の覇者となる、筑後の名族、筑紫君。本書は記紀以前に成立した「地方」王権神話を、記紀、風土記、万葉の考察を通じ浮き彫りにしたものである。
目次
第1部 海神宮訪問神話論―葬送儀礼の視点から(「川鴈」考―葬送儀礼との関連において;「隼人」考―ハヤヒトの語義に関する一考察;「狗人」考―隼人と葬送儀礼 ほか)
第2部 海神宮訪問神話とその周辺―海人系氏族の信仰と系譜(住吉大神とその奉斎氏族―ツツノヲの語義に関連して;「金之三埼」考証―カネノミサキと志賀の皇神;「隼人乃湍門」考証―ハヤヒトの語義に関連して ほか)
第3部 『筑後国風土記逸文』小考―古代祭祀の諸相(「筑紫」語源説と筑紫君―占有呪術としての地境祭祀;磐井の「叛乱」の宗教史的意義―鬼門信仰と石人石馬)