出版社内容情報
アルク新書シリーズ第13弾!
アルク新書(13)
NGOのワーカーとして「外国人のこころのケア」に奔走する一人の精神科医の、実際の経験を基にした「多文化外来」の記録。「国際化ニッポン」の現状と未来が見えてきます。
「先生、往診のようです」「ようです」という表現が気になった。往診なのか、そうでないのか、電話を受けた看護婦もはっきりしないらしい。妙な気持ちを抱えて病院の車に乗り、夜の山の中を走り出した。そして地球の底のような山に囲まれたある山村の古びた農家にたどり着き、その寒々とした仏間に入って見たものは、寒さゆえか褐色の肌が荒れ果て、ぶつぶつと独り言を言って放心状態となったフィリピン人女性だった。
―本書「異郷に暮らすということ」より
本のみ 著者:桑山紀彦
[目次]
はじめに ………3 第一章 移住はこころにどんな影響を及ぼすのか
異郷に暮らすということ 移住は精神障害を引き起こすのか? ………11
新たな自分を求めて 移住にかかわる七つの「危険因子」 ………17
峠を越える人たち 適応段階における「やま場」 ………22
みんな不安の十一月 「身体化」と季節に表れる民族性 ………28
心を表す風景構成法 フィリピンの山、日本の山 ………33
時を隔てて蘇る記憶(1) 通訳者の再外傷体験 ………42
時を隔てて蘇る記憶(2) 通訳者の同調現象 ………47
疑心病(イー・シン・ビン) 中国帰国者の家族のこころの葛藤 ………52
第二章 国際結婚とストレス
喪失体験 愛情の代償を求めて ………63
栄光と挫折のイメージ ある中国人女性の「不調」 ………69
金を使ってしまうビョウキ ある夫婦の金と酒 ………75
「ダディー」と「おとうさん」 二つの文化の間で揺れる「娘」 ………86
責任転嫁 国際結婚にみられる、責任を嫁に転ずる傾向 ………92
「中国人花嫁」とニッポン農村社会 気質の違いが生み出すもの ………98
夫婦のひし形 合わない性格 ………104
「日本デ医者、デキマスカ?」 予防医学としての正確な情報提供 ………110
第三章 言葉と日本語教室
子ども返りする「ことば」 一時保護の事例から ………117
日本語教室内での差別 その裏側のキモチ ………122
ハイタ、ハライタにセイロガン 医療通訳者養成講座にみる落とし穴 ………128
日本語教師と日本語ボランティア(1) 精神科医とカウンセラーの関係 ………133
日本語教師と日本語ボランティア(2) 日本語ボランティアの温度差 ………138
第四章 臨床の現場から
五時過ぎの招かれざる患者 行政システムの限界 ………147
「なだれ」に遭遇 話しだしたら止まらない患者への対応 ………153
自傷行為 その裏側にあるのも ………158
同席面接と別席面接 その効果と意味 ………167
何が「病的」か?(1) 宗教とこころの病 ………173
何が「病的」か?(2) あるキリスト者とこころの病 ………178
アルコール依存と移住 ある帰国者と家族の葛藤 ………186
おわりに ………196
内容説明
夢と希望を持って外国から日本にやってくる人々。なぜ彼ら・彼女らは心を病んでしまうのだろうか。「外国人のこころのケア」に奔走する一人の精神科医の姿から、「国際化ニッポン」の現状と未来が見えてくる。
目次
第1章 移住はこころにどんな影響を及ぼすのか(異郷に暮らすということ―移住は精神障害を引き起こすのか?;新たな自分を求めて―移住にかかわる七つの「危険因子」 ほか)
第2章 国際結婚とストレス(喪失体験―愛情の代償を求めて;栄光と挫折のイメージ―ある中国人女性の「不調」 ほか)
第3章 言葉と日本語教室(子ども返りする「ことば」―一時保護の事例から;日本語教室内での差別―その裏側のキモチ ほか)
第4章 臨床の現場から(五時過ぎの招かれざる患者―行政システムの限界;「なだれ」に遭遇―話しだしたら止まらない患者への対応 ほか)



