内容説明
初老に差し掛かった男が豪奢な生活を捨て、家を売り、妻とともに画家マティスの足跡をたどる1年間の旅に出た。彼の半生の回想録であり、フランス各地をめぐる旅行記であり、マティスの伝記でもある本書は、人生の再発見や芸術の重要性について教えてくれる。
目次
プロローグ ゆがみのない目で
第1部 鉛色の空(木炭画の似合う土地―ピカルディ;光をもとめて―パリ;遠近法の問題―パリ ほか)
第2部 借りものの光(ものごとの本質―コルシカ島;美しきジャングル―コリウール;平衡―カマルグ、カシ ほか)
第3部 この絶え間なき眩惑(正確さは真実ではない―ニース;家々に住まう沈黙―ニース、ヴァンス;世界を、あるがままの姿ではなく―コリウール周辺)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わんこのしっぽ
16
アメリカの作家がマティスの足跡を辿る旅行記。所々にヒラリースパーリングの「マティス知られざる生涯」を参考にして旅をしている記述がみられるが、ヒラリーの著書を読んだ直後のせいか、内容が薄味に感じてしまう。フランスの旅行記として読んでも、その土地の魅力をあまり感じることが…。私にとってテーマは面白かったのに、残念感が漂う一冊になってしまった。2013/05/26
くみくみ
4
以前パリに住んでいた友人が、お隣にすんでいた著者自身から贈られた本を貸してもらいました。やっぱり、マティスの作品を鑑賞したくなりますねぇ。2017/09/22
おがっぴ
3
マティスの生涯を追いかける、なんてなんと優雅な旅かと思えば、途中資金は尽きかけるは、義母がなくなるのは。大変な旅。でも人々の善意に助かられる、なんか人って優しいんだなって思う。 この年代にこんな旅ができる度胸がうらやましい。2018/05/06
Charlie
2
漸く読了。唯一つ言えるのは、こんな風にお題を持って長期間あちこちを彷徨い旅したいという事。2014/04/20
fumiko212
1
マティスのニースにおける足跡をたどる旅を計画中につき、プロローグとニース、ヴァンスの第3部のみ読んだ。マティスの住まいの変遷に関する記述が細かくあり知りたい情報は得られた。対象により深くコミットする表現として、文章よりも絵画は優れているという記述にハッとさせられた。 余談だが、ヴァンス滞在の最後の昼にピーナッツバターとクラッカーを食べるとは...これだからアメリカ人は...。2017/12/18