内容説明
家庭や親子の間に何があって、子どもによる親殺しが起きるのだろうか?あなたは子どもを殺していませんか?親殺しには、子殺しが先行しているのです。
目次
第1章 「教育家族」という要因(親子間の内戦が始まっている;水戸事件;土浦事件;孤独ということ―秋葉原事件をめぐって)
第2章 「離婚」という要因(離婚がもたらす子どもへの打撃;枚方事件;稚内事件;奈良事件;八戸事件)
第3章 「対人関係」という要因(伊豆の国市事件(タリウム事件)
会津若松市事件)
第4章 「挫折とコンプレックス」という要因(板橋事件)
第5章 阿闍世王の物語(仏典に描かれた親殺し事件;なぜ阿闍世は親殺しをしてしまったか)
著者等紹介
芹沢俊介[セリザワシュンスケ]
1942年東京生まれ。1965年上智大学経済学部卒業。文芸・教育・家族など幅広い分野の評論で活躍。現代の家族や学校の切実な課題、子どもたちの問題を独自の視点で捉えている。我孫子市在住。一男二女の父(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
24
冒頭に「親殺しには、子殺しが先行している」と結論を示し、実例を挙げながら論証する。共通するのは、親が子を一人の人格者として認めていないこと。巻末の「私たちは多かれ少なかれ、知らず知らずに子殺しをしている親」との言葉にドキッとする。わが身に引き当てて読んでいたから。2022/02/17
しげ
4
「親殺しには子殺しが先行している」ということが一貫して語られていました。不登校や家庭内暴力は、無理やり学校へ引っ張っていく、警察や精神病院につき出すことでは解決しない。なぜ学校へ行きたくないのか、なぜ家族に暴力を振るうのか、それには理由がある。それは言葉にならないものかもしれない。まずは、その「理由」と向き合う覚悟をしなくてはならない。親であることへの覚悟を求められる一冊でした。2017/07/13
よく読む
2
親殺しに子殺しが先行することを具体的事件から明らかにする。事件を親の教育、離婚、対人関係、挫折やコンプレックスに分類。仏教でも阿闍世の話のように子殺しが先行している。秋葉原の事件に見られる無差別殺人も自殺の一形態だ(E.デュルケーム『自殺論』)。存在価値も「隣る人」も失うとき、人は存在論的に死ぬ。感想: ヒトラーによるユダヤ人虐殺もある意味で自殺だったのかもしれないし、アリス・ミラー『魂の殺人』は今でも起きていると思った。アル中やネグレクトは今でもある。家と学校で二面性のある子も多い。参考: ウイニコット2016/01/24
あまよ
2
母親を殺したくなったので読んだ。2011/12/24
特型ニ駆逐艦 天霧
2
「親殺し」の前に「子殺し」があるという言葉が印象的に残りました。勿論、親殺しの前にある「子殺し」は精神的な意味だったりするのですが、この本も親子や家族の在り方について深く考えさせられます。2008/12/08