内容説明
ミケランジェロ神話の解析。
目次
序言―ピコ、プロメテウス、プロテウス
鼻の称讃
ミケランジェロの鼻の悲劇
ダヴィデの鼻
ソクラテス的なミケランジェロ
イソップの烏
正装と美徳
アカデミーの苑
ソクラテス的なサテュロス
グロテスクとしてのミケランジェロ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ルートビッチ先輩
1
芸術家の自伝が現れるのは15世紀のギベルティからとされるが、そのような自意識の獲得は宗教的世界観が歴史的世界観に取って代わられることに因ると思われる。そのことを確固たるものとして示すミケランジェロの(自伝的)伝記の研究を行うのが本書だが、ミケランジェロ研究としてだけではなく、上のような事情があるわけだから、広く近代の文脈を捉えるために重要な議論を提示している。後半指摘されるように、ミケランジェロ直後に彼にならって伝記を書いたチェッリーニはロマン主義によって取り上げられ、情熱の型とされた。2015/12/15