内容説明
神と真理と美、ルネサンスが拓き、デカルト・スピノザが興した、哲学的、科学的パラダイムの転換を読み解く鬼才カッシーラーの画期的論考。
目次
序論 カッシーラー思想の特色とルネサンス観
1 ルネサンスの独創性の問題
2 思想史におけるフィチーノの位置
3 ジョヴァンニ・ピーコ・デッラ・ミランドラ―ルネサンス観念史の一研究
4 ルネサンス文化におけるヴェサリウスの位置
5 ヨーロッパ精神史におけるケプラーの位置
6 ガリレオのプラトン主義
7 デカルト哲学における「学問の統一」の理念
8 一般的精神史におけるスピノザの位置
9 シャフツベリと英国におけるプラトン主義ルネサンス
感想・レビュー
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roughfractus02
6
シンボル形式から見ると科学も一つの解釈または認識の仕方である、と著者はいう。本書は17世紀科学革命とデカルト、スピノザの哲学の登場に至る知識概念の変容を、sapientia(超自然的な事柄の知識/知恵)とscientia(自然的な事物の知識/知識)に区別され、後者に対して前者が優位していた中世・ルネサンス的伝統の崩壊に見る。17世紀、普遍的知識を司る数学を観察誤差を修正する道具として用いたガリレオは、中世以来の序列を崩し、経験データを比較し厳密化するscienceという新たな知識の解釈の仕方を作ったのだ。2019/05/03
つだしょ
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ルネサンスの独創性とは?ケプラー、ガリレオの転換、モンテーニュのエセーの中の個人等は独創だったか。その個人の思想や行動等の中、その人が属した分野の歴史等だけにその根拠を探すよりは、社会の変化(メディチ家の勃興等)が文化に与えた影響を考慮すべきであろう。2020/09/18