目次
第1章 光学と想像力
第2章 ホフマンの光学実験室
第3章 鏡の働き
第4章 見えないものを見る
第5章 時を征服する光学
第6章 光学的恋愛
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
livre_film2020
37
幻想文学と光学の関係を精神分析学を用いて分析したものが本書と翻訳者は解説している。幻想文学をちょっとしか知らない私にはかなりちんぷんかんぷん。だが影=自分の分身(プラトン的な思想)等、馴染みある言説が多数出てきた。読みながら、村上春樹『鏡』を思い出した。村上春樹は海外文学に通じていたから、ファンタスマゴリアの存在を知っていてもおかしくないなと。日本でこの言葉が有名なのか知らないが、少なくとも私は論文内で初めて見た。幻想文学に通じている人なら、本書を楽しく読めそうな気がする。私にはまだ早かった笑笑2023/02/02
かんちゃん
2
17~19世紀における光学技術(投影機、鏡、レンズ、プロジェクター)の発展と、それが幻想文学に与えた影響と、作品に与えた効果について論じる。通信手段による人の非個性化についての短い言及(アシモフ『はだかの太陽』を引き合いに出している)は、コロナの後ではまた違った読まれ方になりそう。幻想が現実に亀裂をいれ、現実のあり方を揺り動かそうとする、という文学作品中での運動論に、ドゥルーズ的なものを想起(直接言及されていたかもしれないが失念)。2023/10/05
まりこさん
2
精神分析的批評を用いて幻想文学を読む本。非常に面白かったし将来使うことになりそう。やはり修論ではフロイトとドゥルーズを使おうと思いながらも、この手の論で必ず用いられる鉄板作品もあれば、取りこぼされる作品もあるんだなあと感じた。またホフマンか!また未来のイヴか!でも、ロマン派の言説をかなり用いていて、よかった。2014/06/16
あかふく
2
ファンタスマゴリアという個別の装置についてではなく、広く光学的なものが19世紀にどのような形で表象されていたかということを追う。とくにホフマン「砂男」、「廃屋」、「ブランビラ王女」、モーパッサン「オルラ」リラダン『未来のイヴ』、ヴェルヌ『カルパチアの城』などについておそろしく緻密な読解を行っていて、フロイトなどの指摘を参考にしながら越えていく。参考文献としてはバルトルシャイティス、ラカン、ゲーテなどがメイン。章題として「時を征服する光学」、「光学的恋愛」など。2012/12/13
Was
1
『文学とテクノロジー』『独身者の機械』あたりと併せて読むべし。2013/02/23