内容説明
芸術神ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂に描いた壮麗なる絵画的宇宙、すなわち、ルネッタとヴェーラに描かれたキリストの祖先たち、ペンデンティヴに描かれた預言者とシビュラたち、大ペンデンティビに描かれた旧約聖書の四つの神話、天井に描かれた『創世紀』の語る天地創造の九場面、そして、祭壇に描かれた究極の「最後の審判」、これらの雄渾な視覚を凌駕する表象を丹念に読み解き、その内部に込められた創造の秘跡を探検する。
目次
序章 システィーナ礼拝堂の五〇〇年1―「最後の審判」まで
第1章 「モーセ伝」と「キリスト伝」
第2章 キリストの祖先たち―ヴェーラとルネッタ
第3章 預言者とシビュラ―キリスト教の普遍性と教会の革新をめぐって
第4章 大ペンデンティヴにおけるミケランジェロの神学理解と造形―「ダヴィデとゴリアテ」、「ユディットとホロフェルネス」、「ハマンの懲罰」、「青銅の蛇」
第5章 「アダムの創造」―天井に描かれた『創世紀』連作九場面
第6章 「最後の審判」―ブオン・フレスコ美学と復活のヴィジョン
終章 システィーナ礼拝堂の五〇〇年2―見えることと見えないこと