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内容説明
モーツァルト最後の年のオペラ「魔笛」の謎。「夜の女王」とザラストロの善悪の立場が逆転するのはなぜか。「太陽の神殿」の勝利に夜の世界は永遠に滅び去ってしまったのか。道化役パパゲーノと奴隷頭モノスタートスの存在は、闇から光へという「近代の神話」に疑問をなげかける。タミーノの試練を最終的に先導する「夜の女王」の娘パミーナは、多次元を自由に越境する。異界からやってきた二人の女性を軸にすえて、混沌と闇を含み躍動する多層的なイメージと音の世界を読み解く、ユニークな「魔笛」論。
目次
プロローク ドイツ・オペラ「魔笛」
第1幕 異界からのメッセージ―「夜の女王」
第2幕 啓蒙主義の理想とその影―ザラストロとモノスタートス
第3幕 魔法オペラか「啓蒙」の神話か―タミーノ
第4幕 葦笛と魔法の鈴―「自然人」パパゲーノ
第5幕 エネルギーの中心点―パミーナ
第6幕 「魔笛」のウィーンとベルリン―シンケルの舞台装置
エピローク 「夜の女王」の「謎」
著者等紹介
長野順子[ナガノジュンコ]
神戸大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ヴェネツィア
32
モーツアルトの『魔笛』は、数々の矛盾に満ちていながら、実に多彩な魅力を秘めたジングシュピール※だ。最大の謎は、第1幕で、タミーノが悪の権化ザラストロのもとから夜の女王の娘であるパミーナを奪い返しに行きながら、第2幕ではザラストロが叡智の王として夜の女王を冥界へ追いやるところにある。フリーメーソンとの関わりなど、実に多様な解釈がなされてきた。しかし、どのような解釈に立つ場合にも、夜の女王のアリアは圧倒的な存在感を示すことになる。人間技を超えたようなコロラトゥーラ。それはまさに「異界からのメッセージ」なのだ。2013/03/20
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