出版社内容情報
フュスリ、ポーから、ラファエル前派、ラスキン、ワイルド、ヴァーノン・リー、デ・ラ・メア、ダヌンツィオ、ロダン、プルースト、アール・ヌーヴォー、フロイト/ジョイスまで、エヴァ(官能/美)の誘惑(蛇/悪魔)にかりたてられた文学的想像力(アダム/死)が快楽にのめりこみすぎやがて衰弱していく過程、すなわちヨーロッパにおけるロマン主義芸術観の栄光と挫折を、縦横無尽、自在無碍にその最深層にまで探究の眼を浸透させ、その芸術的感性を明らかにする。
序 論
第一部 恐怖の三巨匠
第二部 ラファエル前派
第三部 唯美主義の生みの親たち
第四部 奇人変人たちの展示館
第五部 ダヌンツィオ博物館
第六部 プルーストの室内装飾
第七部 フロレアーレ様式
第八部 ココシュカの人形
原註/訳註
「エッセイスト」プラーツの魅力――『蛇との契約』解題
人名索引
20世紀の美術=文学の最大の碩学プラーツによる集大成
目次
第1部 恐怖の三巨匠
第2部 ラファエル前派
第3部 唯美主義の生みの親たち
第4部 奇人変人たちの展示館
第5部 ダヌンツィオ博物館
第6部 プルーストの室内装飾
第7部 フロレアーレ様式
第8部 ココシュカの人形
著者等紹介
浦一章[ウラカズアキ]
東京大学文学部助教授
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感想・レビュー
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roughfractus02
4
G・R・ホッケがマニエリスムの原初モデルをアジア的自然を排除してポリスの秩序=宇宙(コスモス)を作ったギリシャに設定したのに対し、著者はロマン派の原初モデルをアダムとイヴの神話に求める。官能と美を象徴するイヴが悪魔の化身蛇から林檎を受け取る時、アダムは苦役と死の運命を担う。本書によれば、文学的想像力が死に対峙するのは蛇と契約した官能と美に誘惑されるからだ。この原初イメージがロマン派に顕著に現れるのは、アダムが担った苦役が産業革命後の労働社会が世界を覆うからか。蛇は楽園喪失の記憶を、時代を超えて運んで行く。2019/09/08