内容説明
拡大するEUと新自由主義的ヨーロッパの進展。政治エリートの指導するヨーロッパ政策の機能不全、一般国民の反応や態度にも目配りした分析を通して現代フランス政治の危機を摘出し、その処方箋を提示する。
目次
第1章 一九八〇年代の「静かな機能主義」(フランスは欧州通貨制度内に留まる;フランス近代化のためのヨーロッパ市場;経済通貨同盟への波及)
第2章 東方への(開放)拡大―確信をもてぬままの受け入れ(単一通貨との交換で実現したドイツ再統一;加盟よりも国家連合を;東への拡大を合理的な政策として受け入れる;イラクについての分裂からサルコジによる活性化へ)
第3章 拡大に直面したフランスの政治エリート(小ヨーロッパに対する連邦主義者のある種のノスタルジー;ヨーロッパ懐疑主義者とポーランド配管工の作り話;トルコ加盟をめぐる論争)
第4章 自由主義的ヨーロッパに対する恐れ(二〇〇五年五月二九日の国民投票で「ノン」;社会的不信と市場に対する恐れ;「自由主義」と「リベラル」:否定的な響き;欧州市場から利益を得る経済)
第5章 拡大EUの中で自分の地位を見出す(二七カ国のEUにおいてリーダーシップを発揮する;二〇〇八年のフランス議長国を成功させる;EU拡大についての否定的な言説をやめる;拡大EUを考える)
著者等紹介
ルケンヌ,クリスチアン[ルケンヌ,クリスチアン][Lequesne,Christian]
1962年フランス生まれ。ストラスブール政治学院卒、ブリュージュの欧州大学院大学修了、パリ政治学院政治学博士(1992年)。チェコのプラハにある「フランス社会科学研究センター」(CEFRES)所長、英国のロンドン・スクール・オブ・エコノミックス(LSE)教授などを務め、現在フランスを代表する研究機関であるパリの「国際関係研究センター」(CERI)所長。CERIと姉妹関係にあるエリート養成校のパリ政治学院の大学院で学生の指導にも当たっている。専門はEU研究、フランスの欧州政策など
中村雅治[ナカムラマサハル]
上智大学外国語学部フランス語学科教授。元上智大学ヨーロッパ研究所長(2008年‐2011年)。専門はフランス政治、フランスとヨーロッパ統合(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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