内容説明
1848年、普通選挙で世界に先駆けたフランスの民衆は理想社会の実現という壮大な夢を描いたが、それは空しい夢となった。大統領にはルイ=ナポレオン・ボナパルトが選出され、議会は選挙改悪へと傾斜し、そして大統領自身がクー・デタを決行する。普通選挙は重大な試練に直面した。普通選挙が導入されてから、第二共和政と第二帝政を通して、フランス国民は選挙の「主役」になるどころか、むしろそれに絶えず翻弄された。世界初の普通選挙その実態と動向を解明する。
目次
第1章 熱狂から驚愕へ―一八四八年(予期せぬ出来事;普通選挙の制度化;普通選挙に託された夢;有権者への働きかけ;投票行動の実態とその結果;補欠選挙の暗影;憲法論議の紛糾;大統領選挙お衝撃)
第2章 共和政の暗転―選挙改悪への下り坂(二大党派の対決;普通選挙の歪曲;大統領によるクー・デタと人民投票;共和政の形骸化;帝政の復活へ向けて)
第3章 試練の時期―第二帝政下の選挙(繰り上げ解散と総選挙;政府批判の広がり;選挙干渉と利益誘導の実態;選挙運動と投票参加の拡大;政治的「自由化」の影響;政府公認候補制の機能不全;最後の人民投票;帝政の終焉とその背景)
著者等紹介
永井良和[ナガイヨシカズ]
1944年生まれ。1971年拓殖大学政経学部卒業。1976年東海大学大学院政治学研究科博士課程修了。拓殖大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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