内容説明
破局の残骸を継ぎ合わせ、核の普遍史に抵抗する連帯の場を開く。「唯一の戦争被爆国」の神話を突き崩す「逆流」(殿敷侃)を芸術に見届け、近代史が集積した広島の今を問う。他者の記憶が行き交う街路を開くために。「震撼させられた者たちの連帯」(ヤン・パトチカ)の可能性を探る『パット剥ギトッテシマッタ後の世界へ』以後の広島/ヒロシマをめぐる思考を集成。
目次
序 ベルリン‐ヒロシマ通信
第1部 記憶とその造形(殿敷侃の点描;そこに歴史はない―ベルリンからグラウンド・ゼロトしての広島を思う ほか)
第2部 記憶の詩学(記憶する言葉へ―忘却と暴力の歴史に抗して;言葉を枯らしてうたえ―吉増剛造の詩作から“うた”を問う ほか)
第3部 ヒロシマ批評草紙(“死と再生”を物語る音楽を問う―能登原由美『「ヒロシマ」が鳴り響くとき』書評;“原爆”を読み継ぐことへの誘い―川口隆行編著『(原爆)を読む文化事典』書評 ほか)
第4部 記憶の交差路へ(殿敷侃―逆流の生まれるところ;地図の余白から―記憶の交差路としての広島へ ほか)
著者等紹介
柿木伸之[カキギノブユキ]
1970年鹿児島市生まれ。上智大学大学院哲学研究科博士後期課程を満期退学後、上智大学文学部哲学科助手、広島市立大学国際学部教授を経て、西南学院大学国際文化学部教授。博士(哲学)。専門は哲学と美学。二十世紀のドイツ語圏の哲学と美学を主要な研究領域とする、芸術評論も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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