内容説明
Zoomでの死刑宣告、傍聴人数の制限、弁護人へのマスク強要、拘置所の面会禁止、刑務所での集団感染などコロナ禍のなかで被拘禁者の人権は大きく阻害されている。そして香港国家安全維持法を強行した死刑大国・中国の影響力は世界に跳梁していく。これまでの死刑廃止へ向う世界の流れは逆流し始めたのか。
目次
特集 コロナ禍のなかの死刑(コロナ以後の刑事裁判と死刑;中国の台頭と死刑―コロナ以後の世界;感染症は刑事司法をも変えるのか―コロナ禍の刑事施設と裁判から見えたもの;壁の内外から見たコロナ禍のなかの東京拘置所;二〇一九‐二〇二〇年死刑をめぐる状況;死刑執行と抗議行動 二〇一九年一二月二六日の執行)
日本弁護士連合会の報告
処刑直前に送られてきた応募作品を読む
「倒錯した「真理」と仕刑制度」開催にあたって―死刑映画週間東京
ゲストのトークから
偏見、差別と死刑―死刑映画を観る
死刑関連文献案内二〇二〇年
ストックホルム宣言から四三年―死刑廃止に向けた国際的動向
死刑判決・無期懲役判決一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
22
コロナ発生から半年後の座談会。出席者全員死刑反対派であるため、裁判官がマスクをして人を裁き、表情が見えないためことは、情味に欠け、裁判の公開に反する等、過剰反応する。牽強付会もいい所。コロナという災禍さえも理論武装の足しにしようとするところが鼻につく。2024/10/27
Natsuko
16
図書館新刊棚で目に留まり、今まで手に取らなかった本も読んでみようととりあえず借りてみる。約300ページ、死刑と死刑囚の文字ばかり、ずしんとくるものがありなかなか進まないが伝わるものは強烈。コロナ禍における拘置所と死刑囚の日々、マスク支給や面会制限。裁判における弁護士のマスク着用拒否談義。簡略化やZOOM普及の怖さ。総理大臣、法相別の死刑囚一覧表、ただただページをめくる。死刑囚表現展には嘘も虚栄もない心の声しかない、見に行きたいようで、実際行く勇気はまだない。2020/11/18
田中峰和
8
ナイジェリアとシンガポールで、ビデオ会議システムZoomによって死刑が宣告された。日本でもコロナ感染拡大の中、リモートワークとソーシャルディスタンスを推進する動きが活発だ。刑事裁判で弁護人がマスクをしていなかったところ、裁判長が着用を求めたが拒否された。被告人の人生を決める重要な裁判では、着用して全力で弁護するのは困難というのが理由。コロナの感染だけでなく、死刑に関しても中国の影響力は世界に跳梁していく。死刑廃止となっていた香港も恐らく復活するだろう。米国ではトランプによる死刑執行推進の動き。時代は暗い。2020/11/11