内容説明
アルコール依存から出発し、摂食障害、薬物依存の援助と家族会の運営に情熱を注ぐ精神科医が、自死から死刑問題までを視野にいれ、この30余年に出会った人々とその家族への希望と哀しみを伝える。
目次
第1章 摂食障害と音楽への感謝
第2章 優しき薬物依存症者―山梨ダルクを通過した人びと
第3章 アルコール依存症とDV
第4章 精神医療から死刑を考える
第5章 悲しい自死
第6章 看護の道徳と規則違反
第7章 診察室の監視カメラ―医の倫理が問われて
第8章 人びとの記憶
第9章 悼詞
著者等紹介
大河原昌夫[オオカワラマサオ]
精神科医・財団法人住吉病院(甲府市)副院長。1947年東京生まれ。共同通信社の記者として東京本社文化部・北海道釧路支局に勤務。32歳で退職。1986年東京医科歯科大学医学部卒業。ゆきぐに大和病院(新潟県南魚沼市)、四倉病院(福島県いわき市)、高月病院(東京都八王子市)、長谷川病院(東京都三鷹市)勤務を経て、1997年4月より現職。アルコール依存症・摂食障害の家族の会に長年係わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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る
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思春期から青年期の葛藤、親や周囲から愛されていないというより、分かってもらえない、わかってほしいということが響く。自殺念慮のある人は、常に死にたい気持ちと行きたい気持ちの間を揺れている。常に誰かをある程度の期間、自殺から救うことはできる。しかし、永遠に救うことは誰にもできな。摂食障害も薬物依存症もリストカットも「今の不快さ、苦しさ、辛さ」を自らの体を場にして表現した。2023/03/18
る
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自死を選ぶ人は最後まで悩む。自立とは、いかに依存できる多数の他者との関係を持っているか。 いろんな言葉が響いた。いろんな人の人生が書かれていて、やっぱり一番はこの方に遺書を残した女性の話が残った。いろんな人生の終わらせ方があるなと思う。 そして、相手の心情を読み取ることは機械ではできない。それも理解できた。だから、対人は必要不可欠である。私も大事にしたい。2021/03/01
nobu
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摂食障害、アルコール依存症、薬物依存症の背景にはトラウマがあり、その哀しみに寄り添ってきた著者の臨床経験集といったらよいのか。最後に、なだいなだ氏や鶴見俊輔氏の追悼文があり、著者の考えの源がわかる。なだいなだが氏アルコール依存症を「葛藤の病」と言っていたのを忘れていた。慧眼の人である。2019/08/14