内容説明
日本人クリスチャン知識人のシオニズム運動への共鳴は、グローバルな帝国主義の中でどのような意味をもったのか。占領された側の抵抗の歴史と重ね合わせながら考察する。
目次
第1章 植民地主義・民族・キリスト教(近代ヨーロッパ主権国家体制の形成と植民地主義;ピューリタン革命とジェンタイル・シオニズム ほか)
第2章 内村鑑三におけるシオニズム論と植民地主義(内村鑑三の米国体験と贖罪信仰;贖罪信仰と「日本の天職」 ほか)
第3章 矢内原忠雄の再臨信仰とシオニズム(内村鑑三の再臨信仰とシオニズム観からの影響;矢内原忠雄の再臨信仰とシオニズム論 ほか)
第4章 エルサレム宣教会議と植民地主義(ミッショナリー運動からエキュメニカル運動への転換;エルサレム世界宣教会議と朝鮮問題 ほか)
第5章 中田重治のユダヤ人観と日本ホーリネス教会の満州伝道(第一次世界大戦と日本におけるユダヤ人への関心;軍国主義の伸張とホーリネス教会 ほか)
著者等紹介
役重善洋[ヤクシゲヨシヒロ]
京都大学大学院人間・環境学研究科修了。大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員。博士(人間・環境学、京都大学)。パレスチナの平和を考える会事務局長。専門は、政治思想研究など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みさと
3
キリスト教信仰と対外侵略・植民地主義はいかに折り合いがつけられたのか。欧米キリスト者の歴史観を考察するとともに、日本的キリスト者たらんとの愛国心に燃えた近代キリスト教知識人の言動を検討する。その際、欧米キリスト教より発生したシオニズムに対する態度を重ねてみる。キリスト再臨の前にイスラエルの民が失われた故郷に帰還するとの世界観が植民地主義に正当性を与えた背景があるからだ。 今日の私たちは世界をどう見るのかが問いかけられている。占領された側の人々の視点を完全に欠いていた過去の先人たちの失敗から何を学ぶのかを。2018/06/04