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内容説明
なぜ広島には幽霊が現れないのか。私たちが「合理的」「客観的」「中立」「科学的」と思い込み、あるいはそれらにとらわれているなかで、こぼれおちているものはなにか。
目次
1部 ヒロシマ・ノワール―パールハーバーとヒロシマのあいだの映画・文化史、そして(ヒロシマ・ノワール;ヒロシマそしてグローバルヒバクシャ)
2部 ヒロシマではなぜ幽霊が現れないのか(ヒロシマではなぜ幽霊が現れないのか―「人間ならざるもの」「非人間的なもの」から「平和」を考える;「幽霊」をめぐってのやや長めの追記)
3部 あいだのさなかで(ヒロシマ4と命てんでんこのあいだで;サンキュッパ・ブルーズ東北で竹中労を幻視する。;東北お見舞い道中;広島から東北を思う さまざまな境界線に抗うために)
著者等紹介
東琢磨[ヒガシタクマ]
1964年広島県生まれ。音楽評論家。2005年に本拠を東京から故郷広島に移す。東京外国語大学、成蹊大学、広島女学院大学などで教壇にも立ってきた。広島市立大学広島平和研究所、西南学院大学、関西学院大学、立命館大学などで各種プロジェクトにも参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ハチアカデミー
7
平和を祈念する白い街・ヒロシマから噴出する「黒」を探る一冊。かつてハリウッドで生産されたフィルム・ノワールという探偵もの・犯罪ものの作品群は、社会の暗部で生きる人々の悲哀を主題とする。その暗部を描かなかった/描けなかったからこそ、ヒロシマには幽霊が現れないと本書は指摘する。だから福島にも幽霊が現れない。本書の「放射能というものは霊を殺す」という言葉を拡大解釈すれば、生きた人間の体内にそれが残る以上、彼らを/私たちを「幽霊」見なせないという、しごく実際的な理由が見えてくる。死者に、死に目を背けてはならない。2014/06/26