内容説明
獄中で死を待つ日々を生きる確定死刑囚たち。「生きている死者」として扱われる彼らの生活の真実は、当局の通信の妨害によって外部に漏れることはない。本書は死刑囚が妻あてに秘密の方法で送り続けた通信で、確定囚の実態が初めて赤裸々に描かれた名著である。
目次
第1章 その罪
第2章 戦慄の檻
第3章 愛
第4章 暗黒の淵より
第5章 終焉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
犬都歩
3
昭和45年に死刑執行された強盗殺人犯・小島繁夫が生前に獄中で綴った、いわば「死刑囚ダイアリー」。 初犯かつ殺害人数1人でこの判決だから、結構レアなケース。 文章はわりと巧いし、死が確定している者ならではの生々しく切迫した重みがあるけれど、小島は常に自己憐憫に陶酔しきっているので、きっとこれを読んだ被害者遺族はさぞかし感情を逆撫でされたことでしょう。「たった一度のつまずきが、こうまでも人生を変えてしまうのだ」だって。金銭目的で計画的に人を惨殺したことが「たった一度のつまずき」ですか。呑気ですねえ。2023/06/16
mochita
0
「犯した罪が死刑に値した」以上、刑の執行、すなわち自らの死をもって罪は償われる。このことが事実であっても、執行までの期間、死刑囚たちはその事実と毎日向き合いながら、それでも生きている。その事実を読み手に訴えかけ、読み手はそこから何を感じるのか。死刑制度の是非ではなく、「命」という事について考えさせられる。2018/06/13