内容説明
イギリス社会の歴史的枠組みの変化を象徴する医師と薬剤師との領域争いを主題に、古典の巧みな改作やパロディをちりばめた疑似英雄詩=風刺物語詩の傑作。古典的教養がちりばめられた世界を88枚の図版と詳注とともに楽しむ。
著者等紹介
西山徹[ニシヤマトオル]
1962年生。関西大学文学部卒。関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程単位取得退学。博士(文学)。名城大学経済学部教授
高谷修[タカヤオサム]
1953年生。京都大学文学部卒。京都大学大学院文学研究科修士課程修了。博士(文学)。京都大学大学院人間・環境学研究科准教授
服部典之[ハットリノリユキ]
1958年生。大阪大学文学部卒。大阪大学大学院文学研究科博士課程後期課程中途退学。博士(文学)。大阪大学大学院文学研究科教授
福本宰之[フクモトタダユキ]
1963年生。京都大学文学部卒。大阪市立大学文学研究科博士課程後期課程単位取得退学。龍谷大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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保山ひャン
2
17世紀末ロンドンで、医師会と薬剤師組合が対立した事件を、疑似英雄詩に仕立て上げた作品。医師の数が少ないため、薬剤師が医師のかわりに医療を行い、また貧民救済のため、医師が公共薬局を設立しようとする。領域の侵犯だ。歴史的には、1697年に薬剤師の反対を押し切って、市議会は医師会薬局開設を認めるが、1726年には閉鎖する。イリアスやアエネーイス、さらには狂えるオルランドなどの壮大な道具立てで、せこい話を描いた笑える物語なのだが、17世紀のイギリス史の知らなかったことも知れて楽しめた。2016/05/04