感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
17
ハインリヒ・ハイネ、彼は灼熱色の弾丸、自らの血で燃える炎の薔薇、飛び散る火花が落下しながら美しい花弁へと転じ、それがまたサファイアの瞳をした火の鳥へと姿を変えるような、変幻自在の、しかし中心にヒューマニズムという変わらざる真珠を持った詩人である。寸鉄人を刺すような鋭い機知や皮肉はまさに縦横であり、国王や神を諷して恐れを知らぬ大胆不敵、奔放不羈の度胸はまったく驚嘆に値する。偽善や腐敗を憎む怒れる諷刺の筆は同時に弱者の痛みを敏感に聴き取り、その痛苦を音高く訴えてやまない。美と愛と正義の心が充溢する詩の矢束だ。2020/06/17
tekka
1
「ひとつの呪いは いつわりの祖国にやる/はびこるものは 汚辱と冒瀆ばかり/花という花は すぐくずれ/腐敗のなかに 蛆がうごめく (シュレージエンの織工)」2023/08/07
大臣ぐサン
1
19世紀ドイツの詩人ハインリヒ・ハイネ(1797-1856)の詩集。井上正蔵訳。代表作である「ローレライ」を始め、いくつかは原文も掲載されており、ドイツ語の韻律も楽しめる。思った以上に作風は多彩で、皮肉や風刺が効いた作品や社会的なテーマを扱った作品など非常に幅広い。フランスに移り住んだことも知らなかった。訳文は古すぎもせず、新しすぎもせず丁度よい。入門書にふさわしい一冊。2022/07/26
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