内容説明
水素脆性は長い歴史をもつ問題で、またがる分野も広い。そのために水素脆性の全体感を捉えることは容易でなく、過去の文献も背景が忘れられ、結論だけが一人歩きしがちである。水素脆性は未解明とよく言われる原因のひとつに、いろいろな観点の相互理解と問題点認識の不足が挙げられよう。本書は水素脆性の実体と本質について、全貌を系統的にまとめた初めての本である。専門外の人のために実験、理論の基礎事項を解説しながら、原典を考え方や前提に重点をおいて丁寧に検討するとともに、新しい展開を見せている最近の成果も取り入れている。学生だけでなく、いろいろな立場の研究者、技術者が手元において理解を深め、共有するために最適である。
目次
1 材料中の水素の存在状態
2 材料中の水素の移動
3 環境から材料への水素侵入
4 変形挙動
5 水素脆性破壊の特徴
6 水素脆性機構
著者等紹介
南雲道彦[ナグモミチヒコ]
早稲田大学名誉教授。理学博士。専攻:材料強度物性。1955年東京大学理学部物理学科卒業。1960年東京大学大学院物理学専攻博士課程修了。1960年~1988年八幡製鐵(新日本製鐵)(株)入社。基礎研究所、第一技術研究所長、参与を経て、1988年早稲田大学理工学部教授。2000年早稲田大学各務記念材料技術研究所長。2003年早稲田大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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