内容説明
現代精神分析の最先端の理論群、「フィールド理論」。分析諸学派がそれぞれバラバラに立ち上げた理論群だが、現在一定の枠組みに収斂されつつあり、新たな分析理論の共通プラットフォームになることが期待されている。本書で著者はこの多様な理論群を、南米のバランジェ夫妻による「神話生成モデル」、北米の対人関係論/関係論、間主観性理論による「プラズマ・モデル」、イタリアのフェッロやチビタレーゼによる「夢幻モデル」の3つのモデルに分類。それぞれの歴史的背景や、臨床技法を詳しく解説している。さらに「ゾーイ」という架空の症例を作り出し、ゾーイが神話生成モデル、プラズマ・モデル、夢幻モデルのそれぞれを実践する3人の分析家に分析を受ける様子を描くことで、理解を助けている。わが国の臨床における可能性も大きく、注目される「フィード理論」の、絶好の入門書。訳者による詳細な解題付き。
目次
第1部 精神分析フィールド理論の第1波(イントロダクション;精神分析フィールド理論の概観―過去、現在、そして未来;精神分析フィールド理論の第1のモデル―神話生成モデル ほか)
第2部 精神分析フィールド理論の第2波(精神分析フィールド理論の第3のモデル―夢幻モデル;臨床事例―ゾーイ;3つのモデルにおける分析的傾聴 ほか)
第3部 精神分析フィールド理論の第3波(現代精神分析フィールド理論の3つのモデルについての議論;一般精神分析フィールドとその使用;全体論の試みとしての精神分析に関する結語)
著者等紹介
筒井亮太[ツツイリョウタ]
臨床心理士。関西大学大学院心理学研究科修了後、現在、たちメンタルクリニック・上本町心理臨床オフィス、立命館大学学生サポートルーム勤務
小林陵[コバヤシリョウ]
臨床心理士、公認心理師。東京国際大学大学院臨床心理学研究科博士前期課程修了後、横浜市立大学附属病院に勤務し、現在まで心理療法や心理検査、復職支援デイケア、緩和ケア等に従事する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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