内容説明
本書では、臨床状況や支援場面においてその対象者のこころにかかわるための聴き方、こころを支援する職業での専門的な聴き方を著した。それは同時に基礎技術でもあり、その援助が実効力を持つには、対象者のこころの苦痛・苦悩を適切に聴き取り、それに基づいてより深くより的確に理解することがその前提となる。
目次
イントロダクション(こころの臨床の基本―共感と受容;こころに出会うこと―聴くことの目的)
第1部 支持的な聴き方―こころに出会うための能動的な聴き方(能動的な聴き方;基本的な聴き方―批判を入れず、ひたすら耳を傾ける;離れて聴く―客観的な聴き方の併用;私たち自身の思いと重ねて聴く;同じ感覚にあるずれを細部に感じ取る)
第2部 精神分析的リスニング―こころを感知する聴き方(無注意の聴き方;平等に漂う注意をもって聴く)
「負の能力」を育てる
著者等紹介
松木邦裕[マツキクニヒロ]
1950年佐賀市に生まれる。1975年熊本大学医学部卒業。1999年精神分析個人開業。現在、京都大学大学院教育学研究科教授、日本精神分析協会正会員、日本精神分析学会運営委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ステビア
20
もはや風雅さすら漂う格調高い文章である。大変勉強になった。2017/03/02
ひろか
12
一読目はほとんど理解できず。二読目でやっとぼんやりと読めた感じ。傾聴に関する名著である。2018/11/17
なみこ
8
耳を傾ける、ということについて丁寧にことばにしている本。十年前に出会いたかったけれど、この本の良さや深みは十年前の私じゃわからなかったかな。何回も読み返したい本だし、読む度に自分の臨床を振り返り対話できる本だと思う。2016/05/24
okaching
6
読み終えるのに時間がかかってしまった。転移というものがなんなのかはじめてしっくりきた。相手のこっちへの怒りやバカにした態度、そういう負の感情を含めて全て相手を理解する手掛かりとすると自分の心も軽くなりそうだなと思った。自分は心理ではないが、面接は行う。ただ、聞くのではなく、能動的に相手を理解するために自分自身とぶつけながらやっていけたらもっと深く聴ける気がする。この著者に話を聞いてもらったらどんな感覚になるのだろう。2021/01/21
五月雨みどり
6
話の聴き方や考えの巡らし方(最終的には「もの想い」に行き着くよう)、クライエントへの発話を考えのどこまで・タイミング、が興味深い例示とともに、とても具体的に書かれている。治療者の頭の中を垣間見れる良書。(個人的には、ページ数も多くなく、あまり饒舌に語らないところが、著者の控えめで上品な人柄を感じてgoodでした)2015/11/29