内容説明
フロイトには、今日もなお意義があるだろうか。彼の考えは普遍的な価値を持ち続けているだろうか。それに由来する治療的な方法、つまり治療としての精神分析は、私たちの時代でどのような位置を占めているのだろうか。フロイトの思考および精神分析の活力を明らかにする。
目次
第1部 精神分析の発見―1895‐1910(『ヒステリー研究』1895d;『ヴィルヘルム・フリースへの手紙』1887‐1902;「心理学草案」1950c(1895) ほか)
第2部 成熟の時代―1911‐1920(「自伝的に叙述されたパラノイア(妄想性痴呆)の一症例に関する精神分析的考察」1911c
「精神分析の技法についての著作」1904‐1919
『トーテムとタブー』1912‐1913a ほか)
第3部 新たな展望―1920‐1939(『快原理の彼岸』1920g;『集団心理学と自我分析』1921c;『自我とエス』1923b ほか)
著者等紹介
福本修[フクモトオサム]
1958年横浜生まれ。1982年東京大学医学部医学科卒業。1990年静岡大学保健管理センター助教授。1993年タヴィストック・クリニック成人部門留学。2000年タヴィストック・クリニック成人精神分析的精神療法課程修了。専攻は精神医学・精神分析。現職、恵泉女学園大学人間社会学部社会園芸学科教授/長谷川病院/代官山心理・分析オフィス(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Masakazu Shimamura
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読了に数ヶ月をようした。ペニス羨望でフェミニストから嫌われ、死の欲動で分析家からも理解されず、最後の論文では宗教家からも非難され。もし、真実性みたいなものを仮定できるのならば、それは皆見たくないものか。故にフロイド理論は、よくて理解されず、皆からの憎悪を掻き立て続けるのだろう。当時のウィーンで性について語ったように、やはり精神分析は社会へのアンチテーゼなのだろう。アンチテーゼが消滅する現代では、精神分析の役割は大きく、それが語るべきものは現代では真実性だろうか。2017/05/31