出版社内容情報
心的現実より外的現実を重視する方向に向かった晩年のフェレンツィの仕事は,外面的には精神分析界から排除されたが,その影響は,後の精神分析に深く浸透し,彼は精神分析史上,最も重要な分析家の一人である。本書はそのフェレンツィの仕事を一冊の著作集で紹介するべく,編まれたものである。
内容説明
本書はフェレンツィの仕事を一冊の著作集で紹介することを目指し、重要性を基準に選択して編んだものである。
目次
精神分析における「積極技法」のさらなる拡張(一九二一)
強制空想について―連想技法における積極性(一九二四)
不快感の肯定の問題―現実感覚の認識における進歩(一九二六)
積極的精神分析技法の禁忌(一九二六)
精神分析技法の柔軟性(一九二八)
家族の子どもへの適応(一九二八)
分析終結の問題(一九二八)
望まれない子どもと死の欲動(一九二九)
リラクセイション原理と新カタルシス(一九三〇)
大人と子ども分析(一九三一)
大人と子どもの間の言葉の混乱―やさしさの言葉と情熱の言葉(一九三三)
「断片と覚書」
著者等紹介
フェレンツィ[フェレンツィ][Ferenczi,S´andor]
1873年ハンガリー、ミシュコルツに生まれる。ウィーン大学で精神医学を学んだのち、ブダペストで精神科医として治療実践を始める。1908年にウィーンのフロイトを訪ね、以後、緊密な協力関係のもとに精神分析運動の発展に貢献した。1913年にブダペスト精神分析協会を設立。1918年に国際精神分析協会会長の職につき、第一次大戦後の1919年にはブダペスト大学の精神分析学教授に就任したものの、政情によりいずれも短命に終わる。分析技法の革新に取り組んだが、晩年の冒険的実践がフロイトとの確執を生み、学会で孤立していった。慢性貧血に倒れ、1933年5月にブダペストで生涯を閉じた
森茂起[モリシゲユキ]
1955年兵庫県神戸市に生まれる。1984年京都大学教育学研究科博士課程修了、博士(教育学)。専攻は臨床心理学。現職、甲南大学文学部人間科学科教授
大塚紳一郎[オオツカシンイチロウ]
1980年東京都日野市に生まれる。2002年慶應義塾大学文学部卒業。現在、甲南大学人文科学研究科博士課程。専攻は臨床心理学
長野真奈[ナガノマナ]
1973年奈良県奈良市に生まれる。1998年同志社大学神学部卒業。現在、甲南大学人文科学研究科博士課程。専攻は臨床心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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