出版社内容情報
本書はクライン派の精神分析に基づいているが,難しい理論から出発するよりも臨床現場から出発し,そこで役立つ理論を提示しようと試みる。著者はビオンから個人分析を受けており,本書にはビオンの理論や着想が水や空気のように染み渡っている。ビオンの理論を日常感覚の中で把握できる稀有な本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼう
2
イギリスで出版され30年以上たつが、内容に古さをまったく感じさせない。良書良訳。福祉や医療、教育現場等での実際の対応が多く紹介されているため「心理援助」に携わる人はもちろん、そうでない人にもクライン派理論を背景にした具体的援助って?が理解しやすい。ベテラン臨床家であるだろう著書の「..私たちはすべてを知っているわけでも、何でもできるわけでもない..また現在の知識では、ある種のクライエントを援助するにはまだまだ備えが不十分なのだ..」(p174)という謙虚な姿勢を尊敬。2012/11/07
さち
0
ソーシャルワーカーから精神分析家になった著者がクライン派精神分析の知識をソーシャルワークに応用するという目的で書いた本。ということだけれど、ソーシャルワーカーのみならず、他のさまざまな現場で心の問題と取り組む人にとってとても有益な本だった。クラインの、一見とっつきにくいような、専門外からすれば「なんだか眉唾もの」といった誤解を招きかねないような理論を、具体的なケースとともに分かりやすい文章で説明してくれる。特に2章の「葛藤、不安、防衛」は、さまざまな「不安」についてリアルに理解できた。2015/05/10