内容説明
児童虐待はあまりにも緊急的であり、かつ多くの人びとに対して破壊的である。そして保健婦や保育士、教師など子どもに関わるフィールドで働く人びとが、必ずといっていいほどしばしば巻き込まれる出来事である。こうした関係者は、虐待に対する基本的な関わり方を知らなくてはならないが、しかし、それぞれが単独ではとうていこの問題に取り組めない。積極的に協力・協調する関わり方を知った関係者が増えてゆかなくてはならないのである。ここで扱った事例にはいずれも多くの関係者が登場し、連携と協同作業によって虐待という難しい問題に取り組んでいる。
目次
1 乳幼児期の虐待とその治療―幻想を背景にした母子関係不調和の問題とその治療
2 多動性障害と虐待―多動性障害と虐待の悪循環に対する危機介入
3 被虐待児の入院治療―看護の立場から
4 乳児期から17年にわたった治療的介入―児童相談所でかかわった事例
5 母親の心理療法過程―自分自身と子どもを受け入れるまで
6 性的虐待の臨床―精神科クリニックでの治療と援助の実際
座談会 児童養護施設に入所した被虐待児との関わり
著者等紹介
本間博彰[ホンマヒロアキ]
1950年静岡県に生まれる。1978年弘前大学医学部卒業。1982年弘前大学大学院医学研究科修了。1982~1983年むつ総合病院精神神経科勤務。1983~1988年弘前大学医学部精神神経科勤務。1988~2001年宮城県中央児童相談所勤務。2001年~宮城県子ども総合センター勤務。同時に宮城県中央地域子どもセンター(旧宮城県中央児童相談所)勤務兼務。専攻は乳幼児精神医学、児童精神医学
岩田泰子[イワタヤスコ]
1949年千葉県に生まれる。1973年千葉大学医学部卒業。1973~1976年東京大学医学部附属病院分院小児科勤務。1976年県立神奈川こども医療センター精神科勤務。専攻は児童青年精神医学
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