内容説明
近年、分裂病でもなく、かといってDSMのスキゾイド(分裂病質)人格障害でもない、しかし長期にわたり「ひきこもり」を示す主には20歳代の青年たちが多くみられるようになってきた。問題の性質上、正確な数量的データはないが、こうした「非分裂病性ひきこもり」に悩んで受診する家族や患者は、私たちの臨床場面において、確実に軽視できないほどの部分を占めるようになっているのは事実である。こうした現実をふまえ、多くの精神保健の専門家の診断や治療・援助に貢献しようというのが、本書編集の意図でもある。そのため、治療と援助アプローチにおいては、精神医学モデルだけでなく、広く心理社会的な視点にたって、さまざまな社会的資源を活用することがいかに重要かということ、そしてそれらをいかに活用するかという実際的な方法についても展望している。
目次
第1部 総説(ひきこもりの社会心理的背景;ひきこもりの精神力動)
第2部 精神保健からみたひきこもり(ひきこもりケースの家族特性とひきこもり文化;不登校その後;性別とひきこもり)
第3部 精神障害とひきこもり(序論―精神障害とひきこもり;対人恐怖(森田神経質を含む)
退却神経症(選択的退却症候群) ほか)
第4部 治療と援助―ひきこもりからの孵化・脱出(一般外来でのケース・マネージメント;心理教育的アプローチ;「ひきこもり」を抱える家族の援助 ほか)