内容説明
偏在するアナキズムという名のベクトル。いかに「思想」としてのアナキズムを保持し得るか。どこまで原理的に、かつ多様に、アナーキーであり続けられるのか。暴力論、運動実践、哲学、人類学、宗教、音楽、映画、フェミニズム、近代日本、さまざまなベクトルが交差するアナキズム研究の現在。
目次
社会は転倒しなければならない―ロジャヴァ革命とCHAZによる反暴力
市民的抵抗における「暴力」と「非暴力」再考―エリカ・チェノウェスらの非暴力主義的研究に対するベンジャミン・ケースの批判
夜明けのアナーキー―テクノサイエンス時代のサイボーグとコモン
もう非戦しかないもんね―幸徳秋水、仁のアナキズム
有島武郎と二つの“家”―天皇の最も近くで生まれたアナキスト
デュルケムの集合的なものとイマギナチオ―集合表象概念の哲学的・思想史的意義について
カントとアナーキーの問題
系譜学、人類学、オルタナティヴ―デヴィッド・グレーバーの方法について
「社会」の考えそこない―グレーバーとレヴィ=ストロースの交差地点
山伏とアナキズム
パンクとアナキズム
メドヴェトキン集団再考―自主管理的な労働と映画の実践
著者等紹介
森元斎[モリモトナオ]
長崎大学大学院学域人文社会科学域(多文化社会学系)/多文化社会学部准教授。専門は、哲学・思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hirokoshi
0
知らない言葉や人がたくさん出てきて私にはまだ早かったかな〜という難しさだったけど、その中でも幸徳秋水・有島武郎・山伏の章がおもしろかった。メモ:支配されたがるのは責任の人のせいにできるから/ジェンダーはコンピュータの知能と同じように学習された模倣システム/愛国心と軍国主義は帝国主義の二本柱/法と宗教は国家の作り出す支配の詭弁/なぜこの世界がこんなにも退屈で腐っているのかを考え、それに対して、なぜ自分たちは、何もしないのかという内省/福祉的な環境、労働的な環境の多くはアナキストたちが政府に認めさせたもの2025/04/02