内容説明
ブリュノ・ラトゥールの思想、その核心「非還元」とは何か。還元主義の過剰服用の酔いから覚めて―本質でもなく、構造でもなく、あらゆる物事との同盟関係へ。
目次
第1部 パストゥールあるいは微生物の戦争と平和(資料と方法;微生物の力と弱さ、衛生学者の弱さと力;あなたたちが微生物の導き手になるのだ;戦争と平和)
第2部 非還元(導入;弱さから強さへ;結合の論理;人間の論理;「科学」の非還元)
著者等紹介
ラトゥール,ブリュノ[ラトゥール,ブリュノ] [Latour,Bruno]
1947‐2022。人間・非人間に拘らず、あらゆる物理的・抽象的・概念的存在を行為者と見倣し、無数の行為者の関係としてのこの世界の構築的・被構築的性質を捉えようとしたフランスの哲学者。科学と政治の関係を問い、両者を分離して制御しようとした近代特有の構造では捉え切れないものとして、地球環境問題に注目した
荒金直人[アラカネナオト]
1969年生まれ。ニース・ソフィア・アンティポリス大学(フランス)にて哲学博士号を取得。慶應義塾大学理工学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
言葉は万物を区別分類し、物語を作り、対立を作るが、人類学者は身振りや気配等の微細な差異に注目する。著者は微生物を扱うパスツールの姿勢を参照し、自然のみならず抽象的・概念的存在をも行為者(actor)に含めた関係として世界を捉えようとする(アクターズネットワーク)。一方、そのような世界は構築されるだけでなく非構築的でもあり、構築主義の枠内に収まらない非還元的な性質を持つとする。2部に分かれた本書は、実験室のパスツールをこのネットワークの広がりの中におき、ネットワーク自身を力の場の運動として描き出そうとする。2024/06/22
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