内容説明
戦後70年の歴史を“市民社会”という言葉をキーワードにして、「自由な市民が社会とどのように向き合おうとして来たか」というテーマをめぐる社会認識の歴史、戦後日本の“近代化”をめぐる壮大な思想史でもある。
目次
第1章 戦中期の市民社会概念―統制経済論と生産力論(“近代”再編の戦中的文脈;普遍的“近代”への軌道修正 ほか)
第2章 「人民」の水平的紐帯―戦後初期の内田義彦(講座派マルクス主義と市民社会概念;「人民」に「市民社会」 ほか)
第3章 戦後社会の文化変容と市民社会編―六〇年代の内田義彦戦後社会の文化変容
「市民社会」の主体像
第4章 「自治」のリアリズム―松下圭一の思想遍歴(「市民」政治学の思想原理;「大衆社会」と「二重構造」 ほか)
第5章 二つの正統派批判―市民社会論的社会主義(「西欧」知識人マルクスへの原点回帰;「依存関係」の世界史把握 ほか)
第6章 「市民社会」とユートピア―見田宗介/真木悠介の社会理論(“近代”認識の転回;「歴史」と「構造」 ほか)
著者等紹介
小野寺研太[オノデラケンタ]
1982年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、東京大学大学院総合文化研究科学術研究員および埼玉大学ほか非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ikkoku-Kan Is Forever..!!
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再読。「近代」や「ポストモダン」という言説は、時代の転換期やその節目節目に行われる社会の再検討という意味だと言う筆者。では「戦後」という転換期の日本社会においてはどのような再検討がなされたのかという点、本書は「市民社会」という言説を通じて語られた思想範型について論じる。筆者は内田義彦を引用しながら戦後日本の「市民社会」言説について、これを「つながり」の規範化と要約するが、それは「市民社会」というパッケージで語られた「戦後民主主義」の思想範型であり、戦後日本におけるアダム・スミスとマルクスの解釈史でもある。2016/07/23
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