目次
「もう一つの次元」―プロローグ
第1章 それからの村上春樹―一九九五年以降の展開
第2章 「ただの人」vs「稚拙な物語」―『アンダーグラウンド』『約束された場所で』
第3章 現実の新しい様相―『スプートニクの恋人』
第4章 地震と父なるものの影―『神の子どもたちはみな踊る』
第5章 心の闇の冥界“リンボ”めぐり―『海辺のカフカ』
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の語るもの―エピローグ
著者等紹介
加藤典洋[カトウノリヒロ]
文芸評論家・明治学院大学教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
momogaga
35
読メ開始以前の既読本。この本のおかげで、春樹さんの長編小説を完読できました。
服部
9
海辺のカフカに関する考察はかなり興味深いものだった。他の作品の考察も、分かりやすいが程よく頭を使うような表現方法で、かなり好みのものだった。前作も読んでみたい。2021/12/02
KASAO
4
著者の村上春樹の研究書第二弾。単行本なため『アンダーグラウンド』から『海辺のカフカ』おまけに訳書の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を収録。作品全体の読み方プラス、コラムと銘うって小さなコーナーを作って、様々な村上小ネタを挟んでいるのが面白かった。しかし、この著者は春樹関係の書物および作品、はたまたオマージュではないか、インスパイアーされたものではないか、という小説、映画まで良く読み込んでいると思う。この本の全てをそのまま信じる訳ではないけど、この本を作るにあたって用いられた知識量には脱帽です。2012/10/13
酩酊石打刑
1
『スプートニクの恋人』15章の解釈・解説が新鮮だし、刺激的だった。にんじん≒すみれの読み解きには興奮してしまった。その証明に、髪の毛、すみれ・ミュウ・ぼくの喪失の挿話、などが引かれる。この物語の中では、ちょっと唐突な感のあるこの章にわたしは読書時にひどく魅かれた。その理由は、うまく説明できなかったのだが、この解釈がすべてではないし、正しいかどうかも判然とはしないが、ひとつ納得ができた。雨降りの夕方、大きな河口で眺めるときに感じるさみしさ、というフレーズが改めてしっくりと体の中に入ってきた。2014/03/15
あやぴ
0
この著者に2011年9月会いに行き、講義聞いたら、ちょっと印象変わりました。世田谷文学館の企画に感謝2010/08/24