感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青春パッカパカス
14
サリンジャーは本作品を発表後完全に沈黙した。グラース・サーガの最終作だが、とうとう天才シーモアが自殺した理由は語られない。しかし本作を読むことでかなりのことは推察できる。 30歳程度で死ぬと自身を予言したり、しきりに前世について述べ、いわゆる"強くてニューゲーム"状態であることを明言する7歳の神童シーモア。彼が歳を重ねるごとにその天才性を失っていくこと、「バナナフィッシュ~」で心配されていた木への偏愛も書かれている。バディが書いた「テディ」のモデルなので、読み比べてみると面白いかもしれない。2012/09/05
バナナフィッシュ。
8
五歳と言えば自分のことに手いっぱいで、七歳と言えば普通、周りの子供達と同化していそうなものだが、このグラス家は違う。いっぱしの大人並みに意見をもち、世界一挫折率の多いプルーストを批評してみたりするのだ。恐るべき長兄シーモア。ファンサービスともいえるこの本の存在には、ただ感謝あるのみ。2017/05/11
odgr
2
★★★★☆ 長兄シーモアが7歳の時に家族に宛てた手紙。幼い頃から一貫した宗教観や人生に対する考えを持っているマセガキ。行き過ぎた完璧主義は人生を窮屈なものにする典型だと思う。本人からすれば我慢のできないことなのだろうが。2010/03/21
kanako
1
ずっと読みたかった作品。幼いシーモアがバディとともに参加したキャンプ地から家族へ宛てた手紙。子どもが書いたとは思えない内容ですが、シーモアらしい。彼の輪郭がまた少しはっきりみえるようになりました。2016/06/12
ヤーマダ
0
うーん、かなり特殊な作品というか、サリンジャーとグラースサーガに愛着のある読者以外はもはやついて来られないのではという印象。後半シーモアが送って欲しい本のリストを延々と挙げるくだりはちょっと子供っぽさがあって好感が持てた。2017/04/30