出版社内容情報
山小屋の主人は「感動するお客さんの手伝いをするのが仕事。自分達にできることをやらなくちゃ」と語る。全てが雪崩に流されてしまうので、毎年、建てては壊す小屋。直さなければ通れない険しい道。それでも続けていくわけは?
日本に残る大自然の脅威と、圧倒的な美しさ、その中で生きることの大変さ。仕事をすることの本質や、だれかと「ありがとう」という言葉を交わすことの喜びなど、人としての本質も問いかけてくる作品です。本書の舞台となる「黒部の谷」の上流は、小学校の教科書にも登場する黒部ダムがあるところ。子どもたちにも、この本を通して山深い土地で生きるということに、臨場感を持ってもらえたらと思っています。
内容説明
険しい道の先にあるのは―毎年、建ててはこわす、ふしぎな山小屋。
著者等紹介
星野秀樹[ホシノヒデキ]
1968年生まれ、写真家。雪とブナの森に惹かれ、2015年から北信州飯山の山村に暮らす。学生時代から慣れ親しんだ剱岳・黒部源流エリアと、上越、信越周辺の山々を主なフィールドとして活動する。はじめて阿曽原温泉小屋を訪ねたのは2006年のこと。以来、黒部の人と自然の魅力に惹かれ、黒部の谷へ通い続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ぶち
102
黒部渓谷の"下の廊下"にある小さな山小屋・阿曽原温泉についての写真絵本です。トロッコの終点・欅平と黒部アルペンルートの終点・黒四ダムを結ぶ登山道(下の廊下)の途中にある温泉小屋についての絵本です。山小屋も登山道も冬の間に雪崩ですべて崩壊してしまうため、毎年、小屋を分解し、雪解けとともに建て直し、道を修復します。下の廊下が歩けるようになるのは紅葉の季節になってからです。厳しい黒部の自然の美しさと共に、小屋の主人たちのたいへんな苦労によって私たちが山に感動できるんだということが、胸に迫ってくる写真絵本でした。2023/08/17
☆よいこ
86
写真絵本。富山県と長野県の県境近くから日本海にながれこむ黒部川の上流。黒部ダムからの谷が舞台。「阿曽原温泉小屋」は冬の間は小屋を解体してトンネルにしまっておく。雪解けを待ち6月に入ってから、3日かけて小屋を組み立てていく。9月に「下の廊下」と呼ばれる山道を直すと10月にたくさんの登山客やキャンプ客が訪れる。11月に小屋じまい。2日で解体して終了▽すごい。2023.5刊2023/07/21
けんとまん1007
76
以前、かなり山歩きをしていて、いろいろな山小屋に泊まった。キャンプの経験もある。この阿曾原温泉小屋のことも知っているが、行ったことはない。ただ、毎年、組立と解体を繰り返していることは知っている。山小屋の役割の一つに、避難所という役割もあり、利用するたびに、頭が下がる思いをしていた。それは、今も変わらない。それに、登山道の維持という大変な作業も担われていることには、感謝しかない。2024/09/03
たまきら
54
読み友さんの感想を読んで。娘が黒部ダムに興味を持っていたのでいいかもな、と軽い気持ちで借りてきたら素晴らしい絵本でうっとりしました。厳しい自然に囲まれているからこそ、そこに灯る明かりや人の気遣いがよけい染みるんじゃないのかな。夫が手に取り、「(彼の踊りのチラシをデザインしてくれた)椎名さんが手がけてる」と気づいてくれました。おお~!2023/08/02
OHモリ
34
山好きの大人のための絵本みたいな感じの写真本。毎年雪でつぶされないように小屋を解体して岩の下に格納しているとは知らなかった。阿曽原温泉小屋に泊ったのはもう30年くらい前の黒部下の廊下に行った時かなあ・・・もう年取ったのでガシガシ登山はできないけど、室堂から小屋泊まりで仙人池ヒュッテなんかにも泊まったりしながらのんびり行ってみたりするのもいいなと思ったりした。小屋に行ったらたぶんこの本が置かれていたりするのだろう。そしたら荷物になるけど買ってしまうかもしれないなあと想像したりしている。(今回は図書館本)2023/07/27