出版社内容情報
はじめての冬を迎えたこねずみが、池のそばで泣いていると、「泣くのはやめてよ」金魚が顔を出しました。「だって僕、ひとりぽっちなんだもの」と泣き続けるこねずみに、勝気な金魚は……? 心あたたまる友情の物語。
内容説明
なきむしのこねずみと、泣くことがきらいな金魚。正反対のふたりがみつけた冬の花。『星につたえて』で人気を博した安東みきえ+吉田尚令がおくる最新絵本。
著者等紹介
安東みきえ[アンドウミキエ]
山梨県甲府市生まれ。1994年に「ふゆのひだまり」で第11回小さな童話大賞(毎日新聞社主催)、「いただきます」で同選者賞今江祥智賞、2000年に『天のシーソー』で第11回椋鳩十児童文学賞、2018年に『満月の娘たち』で第56回野間児童文芸賞を受賞
吉田尚令[ヨシダヒサノリ]
大阪府生まれ。絵本の作画を中心に活動。『希望の牧場』(森絵都作/岩崎書店)で、IBBYオナーリスト賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
169
寒空の下、湖の桟橋で涙を流している。ポチャン。気付いた金魚が慌てて近づいてくる。そんなに泣いたらあふれ出て流されてしまうよ。どうしたの。仲良かった友が誰もいなくなったんだもん。泣き虫のねずみの話をひとつひとつ拾ってあげるやさしさ。誰もあなたを置き去りにしょうとはしていないよ。近づいた気持ちが離れると哀しみが強くなるときがあるの。でも生きるための目的やそれぞれの時期があるから、いつも一緒ではいられない。雪が舞い、氷に閉ざされたとして、あなたはひとりじゃないの。冬に咲く花は少ないけど、信じればまた会えるから。2025/02/24
はる
65
優しいおはなし。自分はみんなに嫌われて一人ぼっち。そう思っていたこねずみですが…。性格が正反対の金魚に出逢ったこねずみ。ふたりのちぐはぐなやり取りが可笑しいです。そう、世界は自分が思っているよりずっと優しい。勇気を出して周りをよく眺めてみよう。金魚から見たら、ラストのこねずみはやっぱり「やれやれ…」という感じかな笑。2020/01/21
papapapapal
50
「とうしてみんなぼくを嫌いになっちゃうの??」冬が来て、仲良しのお友だちが何故かいなくなってしまった、勘違いの子ネズミくん。池のほとりでひとり涙をこぼしているのを、泣き虫嫌いの金魚さんに見つかってしまって…。 何とも可愛らしいお話のラスト、冬の池に花が咲くシーンでは、思わず歓声が上がりました。2021/05/06
anne@灯れ松明の火
48
新着棚で。「星につたえて」の安東みきえさん吉田尚令さんコンビの新作が出ると、吉田さんゆかりのギャラリーで聞き、楽しみにしていた。今回は、こねずみと金魚の物語。なぜ金魚?と思ったけれど、抑えめの色使いの中、金魚の赤が映える。普通の魚ではダメだったなあ。こねずみのネガティブぶりに、「何でそこまで」と思いながらも、自分もそのタイプなのでわかる気も。ポジティブな金魚に救われるが、実は金魚自身も救われたのかもしれない。後ろの袖のヤマネがすごくかわいい。カバーをはずして広げてみたい(図書館本だから無理だけど)2019/12/14
ヒラP@ehon.gohon
35
どうして自然の池の中にこんなに金魚がいるのか疑問を持ちながら、みんなが助け合って作った花が綺麗だったので、気にしないことにしました。 渡り鳥のつばめ、冬眠するやまね、雪が降り氷がはり、冬の季節は、ねずみくんも友だちと会えなくて残念ですね。2020/11/25